フレッツISDN利用者大幅増加　定額制常時接続環境の普及促進に一役

フレッツISDN利用者大幅増加
定額制常時接続環境の普及促進に一役

　株式会社BCN（本社：東京都文京区、代表取締役社長　奥田喜久男）の市場調査部門であるBCN総研は、ISDN回線におけるフレッツISDNサービス利用者が、前回調査（2000年8月）に比べ、24.9ポイント増の40.2％を占めた、と発表した（図）。フレッツISDNサービスの開始は1999年11月。当初は、東京・大阪など一部地域が対象だったが、2000年7月に36都道府県162都市へサービス範囲を拡大するなど着実に利用者を拡大している。フレッツISDNの普及は、定額制常時接続サービスの普及促進に一役買ったかたちとなる。NTT東日本、西日本では、来年初旬にも既存の電話回線（銅線）を使用した、より高速な定額制常時接続サービス「フレッツADSL」を開始する予定。定額制常時接続サービスがさらに身近なものとなる。

 

　フレッツISDNは従来からあるISDN回線を利用して定額制常時接続環境を実現したサービスだ。ダイヤルアップ接続で使用するNTTの公衆回線網を経由せず、インターネットアクセスに限り、「地域IP網」という専用のネットワークで利用者とISPをつなげ、定額制常時接続を実現する。NTT法の縛りにより、NTT地域会社は県間通信ができないことから同社はISP事業を展開できず、「地域IP網」に各地のISPが接続しなければサービスが成立しない。東京・大阪のみの地域限定でサービスを開始したことにはこのような背景がある。

　同社が今後開始を予定するフレッツADSLや光ファイバー接続もすべて地域IP網経由の利用となる。フレッツISDNのサービスエリア拡大は、NTTによる次世代の定額制常時接続サービス普及の布石という位置づけと考えられる。

　定額制常時接続サービスでは、東京めたりっく通信やイー・アクセスが提供するADSLサービスが注目されているが、2000年11月現在の国内のDSL回線（デジタル加入者線）は約3000回線とまだ少ない。これは、サービスエリアの規模とともに、NTTがISDNの普及に力を入れていたことで、DSLの普及に消極的だったことも関係する。

　フレッツISDNの利用数は約20万回線にのぼる。定額制常時接続サービスとしては抜群のサービスエリアの広さを誇っており、利用者の増加もサービスエリアの広さに影響している。

　定額制常時接続サービスの需要は大きく、フレッツISDNの利用者増加は、そのニーズに的確に反応した結果といえる。フレッツISDNが定額制常時接続サービスの普及に一役を買ったかたちとなるが、ベンチャー企業にとっては大きな脅威となっている。