ソニーの躍進で大きく変動するPC市場の勢力図

ソニーの躍進で大きく変動するPC市場の勢力図

　株式会社BCN（本社・東京都文京区、社長　奥田喜久男）の市場調査部門であるBCN総研は、店頭PC市場でソニーのシェアが急拡大し始めたと発表した。2月に入り、デスクトップでは14.1％で3位、ノートでは28.1％のシェアで1位となり、PC総合ではNECに0.4ポイント差の2位に急上昇している。

     

　デスクトップ、ノート市場ともにNECが不動のトップベンダーという構図が揺らぎ始めている。99年はデスクトップ、ノートを合算したPC総合のベンダーシェアではNECが辛くもトップを維持したものの、デスクトップだけをみるならばアップルが首位を獲得し（アップル30.0％、NEC21.9％）、ノートではソニーが勢いを増してきた（NEC26.3％、ソニー23.3％）。しかし、この新たな勢力図がさらに変わろうとしている。

　図1はデスクトップベンダーシェアの月次推移を示している。ソニーのシェアが前月から9.8ポイント増加し14.1％で第3位にまで急上昇している。また、NEC、富士通も緩やかな上昇傾向を示している。アップルおよびSOTECは下降傾向にある。

　図2は月次のノートベンダーシェア推移である。ノート市場でもソニーが2月に入り急激にシェアを拡大した。前月比13.6ポイント増の躍進だ。NEC、富士通は2月にシェアを落とし、アップルはデスクトップ市場とは逆にシェアを拡大した。この結果、2月のデスクトップ、ノートを合わせた総合ベンダーシェアでは、NECが21.2％で首位をキープしたが、ソニーが首位と0.4ポイント差の20.8％で2位に躍り出た。3位のアップルとの差は2.1ポイントである。

　このソニー躍進の原動力となったのが「VAIO J PCV-J10V5」（2月初旬発売）とノートの「VAIO NOTE PCG-N505A/BP」（1月下旬発売）である。「VAIO J PCV-J10V5」は2月2週目（2月7日～13日）には、アップルの「iMac DV Special G3-433」を抜き、トップシェアを獲得した。以降、デスクトップではトップを維持している。ノートでは、トップシェアこそ「iBook Special Edition」（2月18比発売）に奪われたが、ベスト5に「VAIO NOTE PCG-F50/BP、VAIO NOTE PCG-N505A/BP」の2機種をエントリーするほどの強さを発揮している。

　なぜ、ソニーの新製品、とくにデスクトップがここまで伸びているのか。

　現在、デスクトップで売れ筋になる最大の条件は価格である。2月のデスクトップ売れ筋ベスト10を占める製品で20万円を超えるのは、9位のNEC「VALUESTAR NX」だけであり、半分が10万円前後の製品で占められている。10機種の平均価格は14万2060円である。ところが、売れ筋の11位以下になるに従って、実売価格は高くなる。11位～20位までの平均価格は15万5970円であり、21位～30位では16万1063円となる。「VAIO J」は13万円弱という価格が最大の強みとなった。アップルに匹敵するPC初心者層向けのブランド力も大きな強味だろう。ただ、価格やブランド力だけでなく、それらの要因を支えるしっかりとした製品力を持っていることも確かだ。「VAIO J」のディスプレイはフラットトリニトロン15インチで、画面が斜め上を向いている高画質・高機能モデルである。ディスプレイに強いソニーの利点が最大に活かされているほか、i-Link（IEEE1394）に接続できるデジタルビデオカメラとの互換性も優れている。

　価格、ブランド力、製品力、ショップ販促活動といった様々な要素が、発売当初からの好調な立ち上がりにつながったとみることができる。