パーム コンピューティングの「PalmVx」、「Palm3c」発売で携帯情報端末市場が激変
パームコンピューティングが4月15日に発売した携帯情報端末「PalmVx」、「Palm3c」が携帯情報端末市場の勢力図を大きく塗り替えている。同製品は、スリーコムが販売していた「Palm」の後継機で、国内では日本IBMの「ワークパッド」がパームOSを搭載した「兄弟機」となる。携帯情報端末市場におけるパームコンピューティングのベンダーシェアは同製品を発売した4月2週目に55.9%を占めるまでに拡大(図3)、また、携帯情報端末に占める「独自OS搭載端末」([PalmVx」、「Palm3c」が含まれる)の販売構成比率も4月2週目で79.0%に達したことからも明らかなように(図4)、パームコンピューティング製品が携帯情報端末市場に与えた影響は大きい。今後、パームコンピューティングからライセンスを受けるソニーやハンドスプリングスが製品を発売し始める。また同社からOEM供給を受ける日本IBMも新製品の発売を計画している。携帯情報端末市場の本命はパームとなるのか、今後の動向が期待される。
パーム コンピューティングのクレイグウィル代表取締役は「パームはこれまでの携帯情報端末とはまったく違う市場をターゲットにしている。すなわち、ビジネス用途ではなく、極めて個人的な使用を提案した画期的な製品だ」と話す。これまで日本市場ではスリーコム製の「Palm英語版」が販売され、また同社からOEM供給を受けている日本IBMが「ワークパッド」を発売していた。しかし、両社がターゲットとするのはビジネス市場であり、特に「ワークパッド」はロータスノーツとの親和性の高さを売りにしたビジネスツールとして、販売面においてもビジネス市場で重点的に売られていた背景がある。
パーム コンピューティングが目指したのは、これまで携帯情報端末では未開拓ともいえるコンシューマ市場である。マッキントッシュとの強い親和性や店頭だけに焦点を絞った販売チャネルはそのことを明確に表している。
パームの販売に強いイケショップでは、「PalmVx、Palm3c購入者の90%はこれまで携帯情報端末を使ったことのないまったくの初心者だ。ザウルスに比べて圧倒的に簡単な操作と携帯性、アプリケーションの豊富さ、デザインなどがビジネス用途以外で売れている要因だろう。またグッチやルイ・ヴィトンなどのブランドからパームのカバーが発売されているなど、ファッション性でも話題になっているようだ」と話す。
「PalmVx」および「Palm3c」の携帯情報端末市場における販売台数シェア推移を示したのが図2だが、「Vx」が35%前後、「3c」が20%前後という非常に高い水準で推移しているのがわかる。
携帯情報端末市場のベンダーシェアも大きく塗り変わっている。
図3は週ごとに、日本IBM、シャープ、パーム コンピューティングのベンダーシェア推移を示したもの。4月2週目でパームコンピューティングのベンダーシェアは55.9%となり、1週目で34.7%だったシャープは2週目で14.7%、日本IBMは21.2%(1週目)から 6.9%(2週目)となった。
さらに、「PalmVx」、「Palm3c」の発売によって携帯情報端末における「独自OS搭載端末」と「WindowsCE搭載端末」の販売構成比率も大きく変動し、4月1週目までは53.9%だった「独自OS搭載端末」は「PalmVx」、「Palm3c」が発売された2週目で79.0%に上昇した(図4)。
今後パーム コンピューティングからOSのライセンスを受けるソニーやハンドスプリングスなどが製品を発売しはじめる。また日本IBMも巻き返しを図るべく新製品の発売を計画している。「各社それぞれで工夫を凝らした製品を発売してくるだろう。競合として市場のシェアを争い合うのではなく、まだ未熟なこの市場をともに拡大していきたい」とウィル代表取締役は話す。

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