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デジタル家電のデフレ化、春の大型連休で顕著に

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デジタル家電のデフレ化、春の大型連休で顕著に
――「エコポイント」が薄型テレビの低価格化を加速する懸念も


 春の大型連休でデジタル家電市場は、08年の同時期に比べ「デフレ化」が大幅に進行したことが、全国主要家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。

●台数が伸びても金額が伸びない

 4月29日から5月6日までの大型連休期間中のデジタル家電販売状況を08年と09年で比較したところ、販売台数では前年を上回りながら、販売金額で前年割れになった製品が目立った。特に、このところ好調だった薄型テレビは、台数では前年同期比で17.8%増を記録し、2ケタの伸びを維持したものの、販売金額で4.9%減と大幅に落ち込んだ。平均単価が前年比で19.3%も下落したことによるものとみられる。

 また、08年に登場したミニノートPCの台頭で、活気を取り戻しているノートPC市場だが、台数こそ33.0%増と大幅に拡大しているものの、平均単価が27%下落し、販売金額では2.9%減と前年を下回った。ミニノートに端を発する低価格化現象が、市場構造を大きく変えようとしている。同様にICレコーダーも台数で18.9%増と2割近い伸びを示しながら、金額では逆に8.1%減と2ケタに迫る前年割れ。こちらも22.7%の価格下落が大きな要因になっている。
 
図1 <春の大型連休中(※)における主要デジタル家電の販売動向(08年同期比)>
春の大型連休中(※)における主要デジタル家電の販売動向(08年同期比)
 
図2 <春の大型連休中における主要デジタル家電の平均単価下落率(08年同期比)と平均単価>
春の大型連休中における主要デジタル家電の平均単価下落率(08年同期比)と平均単価


 デジタルビデオカメラや携帯オーディオも台数微増ながら金額減。また、苦戦続きのコンパクトデジカメは、台数で4.2%減、金額では14.2%減と前年を大きく下回り、いずれもデフレ化の波にさらされている。 

 一方、DVDやBDなどのレコーダーは大型連休期間中に台数、金額ともに前年を上回った。しかし、2月、3月と金額、台数のいずれも前年同期比で20%以上の伸びを示してきた勢いはみられない。08年5月からBDが本格的に立ち上がり、DVDからBDへの移行が一気に進んだことによる「BD特需」は徐々に終息しつつあるようだ。価格の下落は5.8%にとどまっているが、BD化が進んできた過程では単価が維持できていたことを考えると、これからは予断を許さない状況だ。

 かろうじて活況を維持できているのは、今回取り上げた主要8ジャンルのうちデジタル一眼のみ。20%を超える台数の伸びを維持していた勢いは、18.8%増とやや弱まっているものの、単価下落は8.3%程度にとどまっており、金額の前年同期比は8.9%増とまずまずだ。しかし4月には販売金額が前年同月比で11.9%減と大きく落ち込んだこともあり、今後、成長が維持できるかどうか不安要素は大きい。

●エコポイント導入により、薄型テレビの安値誘導懸念も

 こうしたデフレ化が進む中で、さらに懸念材料として浮上しそうなのが、政府が実施する予定の経済危機対策のひとつ、エコポイントの影響だ。エアコン、冷蔵庫に加え「地上デジタル放送対応テレビ」がポイント付与の対象になっているが、「販売価格」に応じた定率ではなく、「画面サイズ」に応じた一定のポイントが付与されることになった。このため、価格の安い製品ほど値引率が高まることになり、さらなる安値誘導を引き起こす可能性もでてきた。依然として、ポイントの具体的使い道や申請方法などの詳細が固まらないことも購買意欲に水を差しかねない状況だ。今後の販売動向は注意深く観察する必要があるだろう。
 
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