プレスリリース

タイの洪水でHDDは売上4割減、デジタル一眼カメラも前年割れに

プレスリリースPDF版

タイの洪水でHDDは売上4割減、デジタル一眼カメラも前年割れに
――PC・デジタル家電の年末商戦序盤で実売に出始めた影響


PC・デジタル家電の年末商戦序盤戦、タイの洪水の影響が売り上げにも出始めている。最も影響が大きいのはHDDで、11月最終週(11月28日~12月4日)の販売台数前年同週比が約4割減。レンズ交換型デジタルカメラでは、約1割減になっている。全国主要家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。
●HDD市場を直撃、PCへの影響はまだ出ていない

「外付け」や「ベアドライブ」などを合算したHDD全体の販売台数前年同週比は直近の11月最終週で59.8%と、約4割減の水準まで落ち込んでいる。影響が大きくなり始めたのは、11月第1週(11月7日-13日)。前年同週比が59.8%まで一気に落ち込んだ。その後最大で48.8%と半減超に達する場面もあったが、直近ではやや持ち直している。しかし、HDDの関連部品工場なども被害を受けており、供給不足による売上減はしばらく続きそうだ。
 
図1 <主要関連製品の販売台数前年同週比>

 

 2つの工場が被災したウエスタン・デジタルでは、シェアの下落が著しい。9月の第1週(9月5日-11日)では22.0%あった同社の販売台数シェアは、10月の第4週(10月24日-30日)に16.8%と大きく落ち始め、直近の11月最終週では8.9%まで下落している。

 
図2 <ハードディスク(全体)の主要メーカー別販売台数シェア>

 

 一方、HDDを搭載する機器として代表的なPCに関しては、11月最終週で129.5%と約3割増の水準で好調に推移。当面のHDDの在庫は確保できているメーカーが多い状態で、今のところPC自体の販売台数に直接の影響は見られない。年末商戦は何とか乗り切ることができそうだ。しかし、年明け以降もしばらくHDDの供給不足は続く見通しで、来年3月の商戦期への影響に関しては不透明だ。


●前年割れに転じたデジタル一眼、プリンタは依然好調だが勢いが減速
 

 ミラーレス一眼の拡大などで好調が続いているレンズ交換型のデジタルカメラでも、11月最終週に前年割れに転じ、販売台数の前年同週比が90.5%と約1割減になった。ニコンとソニーの工場が被災しており、いずれもレンズ交換型カメラの主力工場であったため影響が大きい。ニコンは、11月第1週には25.1%のシェアがあったが、翌週の11月第2週(11月14日-20日)には17.8%と、シェア3位で17.4%のオリンパスと同水準にまで一時落ち込んだ。またソニーも、10月第2週(10月10日-16日)には18.5%あったシェアが11月最終週には10.3%まで下がっている。両社とも代替工場での生産を開始したとはいえ、通常の生産規模に戻すまでには2~3か月程度はみておく必要があるだろう。

 
図3 <レンズ交換型デジタルカメラの主要メーカー別販売台数シェア>

 

 インクジェットプリンタに関しては、現在のところ活況だ。直近の11月最終週でも販売台数前年同週比が111.7%と2ケタ増を維持。2割程度の前年比増を続けていた状況から考えるとやや減速しているものの、市場全体としては影響は限定的だ。しかし、キヤノンの工場が被災したため、メーカーシェアには大きな変化が出ている。9月第1週では49.1%であった同社のシェアは、11月最終週には27.7%まで落ち込んでいる一方、エプソンが直近週で53.8%までシェアを拡大した。キヤノンの減少分をエプソンでカバーしている状態。しかし、これを商戦期の12月一杯まで維持できないことも十分考えられる。

 
図4 <インクジェットプリンタ主要メーカーの販売台数シェア>

 

 洪水は徐々におさまりはじめ、各社で工場再稼働に向けて動きはじめている。しかし、被害が甚大であっただけに生産設備復旧の見通しが立ちにくい上、今後は衛生上の問題や、従業員の再確保の問題なども懸念されている。サプライチェーン全体の復旧までにはまだ時間がかかる可能性が高い。PC・デジタル家電の2012年春商戦にも影響が残りそうだ。



 
BCNでは全国の量販店23社(アベルネット、アマゾン ジャパン、エディオン、NTTレゾナント、大塚商会、グッドウィル、ケーズホールディングス、サードウェーブ、サンキュー、上新電機、スタート、ストリーム、ソフマップ、ZOA、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、ベスト電器、三星カメラ、ムラウチドットコム、MOA、ユニットコム、ラオックス=50音順・2011年11月1日現在)の日次データを毎日収集し、配信する「BCNランキング」を公表しています。このデータをもとに、PC・デジタル家電市場の動向を分析したニュース配信を行っています。

*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしております。

これまでに配信したリリース一覧はこちら

株式会社BCN
〒101-0047 東京都千代田区内神田2-12-5 内山ビル2階
TEL 03-3254-7801   FAX 03-3254-7808

本件に関するお問い合わせは下記にお願いします。
株式会社BCN 道越一郎
 

 

プレスリリース一覧