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2月の薄型テレビ販売台数、2年2か月ぶりに前年比増――消費税増税の駆け込み需要が追い風に

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 薄型テレビの2014年2月の販売台数が2年2か月(26か月)ぶりに10.2%増と前年を上回った。販売金額も39.1%の大幅増を記録した。販売台数と金額がそろって前年を上回ったのは、実に2年8か月(31か月)ぶり。4月に控えた消費税増税前の駆け込みや大型モデルへの買い替え需要の活性化などが影響している。全国の主要家電量販店などのPOSデータを集計する「BCNランキング」で明らかになった。
 

●10万円以上の製品が2割に迫る勢い、増税前の駆け込みも後押し

 地デジ化バブルの最終局面だった2011年7月は、薄型テレビの販売台数前年比は127.4%増、販売金額は50.4%増だったが、翌8月以降は大幅な反動減に見舞われ、最悪期の2011年11月は台数85.9%減、金額90.5%減を記録した。それ以降、2011年12月に一度だけ販売台数が前年を3.1%上回ったものの、大幅な前年割れが続いていた。

 

 


 持ち直しの動きが見え始めたのは2013年後半から。円安の影響や激安モデルの減少、画面サイズの大型化などによって、平均単価が上昇に転じてきた背景から、2013年8月には薄型テレビ全体の販売金額が2.1%増と前年並みに回復。さらに10月から5か月連続で販売金額が前年を上回る水準にまで回復した。販売台数に関しては、今年に入っても1月時点で前年同月比で10%減と依然2桁割れが続いていたものの、2月に入って2桁増に転じ、金額も大きな伸びを記録した。

 画面サイズ帯別にみると、1月までの販売台数は40型以上の大型モデルだけが前年を上回る状態だったが、2月には20型以上の画面サイズ帯でいずれも前年を上回るまで回復。2月現在のサイズ別の販売台数前年比は、単価上昇の激しい20型未満のモデルは41.0%減と大幅に縮小したままだが、20型台は27.1%増、30型台は9.2%増、40型台が23.6%増、50型以上が65.1%増と、いずれも大きく伸びた。

 大型製品の値ごろ感が強まるのと同時に4Kテレビの登場に伴う大型モデルへの買い替えの流れは継続しており、40型以上の販売台数構成比は2月現在で32.7%と高い。さらに、薄型テレビ全体の価格帯別の販売台数構成比でもこの2月、税抜平均単価が10万円以上の高価格帯製品は過去3年で最大の19.5%を記録。売れ筋の価格帯は2~4万円未満で46.0%を占めるが、10万円以上の製品はそれに次ぐ構成比を占有するまでに拡大している。比較的高額な製品を中心とした、消費税増税前の駆け込み購入も影響しているものと思われる。

 

 

●トップメーカーシャープの急回復が貢献したが、課題は年後半の需要喚起

 メーカー別では、シェアトップのシャープが回復し、市場をけん引している。シャープの販売台数は2013年10月から4か月連続で前年割れを喫していたが、2月は26.0%増と急回復した。特に貢献したのは30型台のモデル。この2月、主要4社のうち他3社は平均単価が10%前後上昇したのに対し、唯一シャープだけが0.9%単価を下げたことが大きい。

 11月から連続して2ケタ増を維持している2位のパナソニックは、2月も前年比21.9%増と堅調。3位のソニーも2月14.1%増と2桁増に乗せてきている。一方、東芝は2月に46.7%減と大幅な前年割れを記録。上位4社の中で、唯一この流れに乗りきれていない。この影響でこれまでパナソニックと2位争いを続けていた同社だが、ソニーにも抜かれ4位に後退した。2014年2月の上位4社の薄型テレビ販売台数シェアは次の通り。1位がシャープで44.7%、2位がパナソニックで17.2%、3位がソニーで11.9%、4位が東芝で8.9%。

 


 低迷が続いていた薄型テレビ市場にもようやく薄日がさし始めたが、まだ「V字」回復といえるような力強さは見られない。新たな商材として期待されている4Kテレビも、2月現在で全体に占める販売台数構成比は、まだ1.4%、販売金額で8.1%の水準。50型以上の製品に限っても台数で12.0%、金額で24.8%と、ようやく市場が立ち上がりつつある状況。消費税が増税された4月以降、さらにサッカー・ワールドカップブラジル大会が終わる夏以降、どうやって需要を喚起し続けるかが大きな課題だ。
 
BCNでは全国の量販店22社(アベルネット、アマゾンジャパン、エディオン、NTTレゾナント、ケーズホールディングス、サンキュー、上新電機、スタート、ストリーム、ソフマップ、ZOA、トスパラ、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、ベスト電器、三星カメラ、ムラウチドットコム、MOA、ユニットコム、ラオックス、楽天ブックス=50音順・2014年3月1日現在)のPOSデータを日次で集計したBCNランキングを公表しています。

*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしています。
 
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