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増税の影響で液晶テレビやノートパソコンなど早くも前年割れ――デジタル家電の駆け込み購入概要とその反動速報

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 14年4月1日に実施された消費税増税の影響で、4月に入ってからのデジタル家電販売数量実績(4月1日-7日、以下4月速報値)は、前年同期に比べ大きなマイナスに見舞われた。増税前の駆け込み購入の反動によるもの。「液晶テレビ」は増税前の3月に販売台数前年比で139.0%と久々の大幅増を記録したものの、4月速報値では前年同期比で67.0%と前年を大きく下回った。一方「デスクトップパソコン」は、3月に188.8%と大幅な伸びを示したが、4月速報値でも依然107.8%と、前年比プラスを維持している。このように一部のカテゴリーでは、4月に入っても前年比増を維持しているものの、主要30カテゴリー中22カテゴリーで、販売数量が前年同期を下回った。BCNが全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。

●特需続く業務ソフト、ノートパソコンなどは早くも前年割れに
 増税直前の駆け込み購入が最も激しかったのは企業向け会計ソフトなどの「業務ソフト」で、3月の前年比が341.8%を記録。増税に直接関連する製品であるため駆け込み購入が集中したが、4月速報値でも259.3%と大幅増を維持しており、依然特需が継続している。また、パソコン買い替えに伴うデータ移行ソフトなどの「システムメンテナンスソフト」も、4月に入って170.6%と大幅増を維持している。そのほか4月速報値でも前年比増を維持しているのは、前述の「デスクトップパソコン」も含め、オフィスなどの「統合ソフト」、「SSD」、「マウス」など、ほとんどがパソコン関連。増税前の駆け込み購入に加え、Windows XPのサポートが4月9日に終了することによる駆け込み購入のダブル効果が大きく影響している。

 しかし、「ノートパソコン」は、3月に181.7%と大幅に伸びた反動で、4月速報値は90.0%と2桁マイナスに転じた。また、「液晶ディスプレイ」(3月144.8%、4月速報値97.4%)、「外付けHDD」(3月136.1%、4月速報値89.5%)など、マイナスに転じたカテゴリーが目立つ。XPのサポート終了に伴う駆け込み購入の反動に関しては、4月10日以降にその影響が明らかになるが、今後は、サポート終了後にもしばらくは買い替え需要は継続するものとみられ、極端な反動減は避けられそうだ。
 

●テレビも大きな前年割れだが、数か月で前年並みを目指す動き

 テレビやレコーダーなどのデジタル家電は、パソコン関連よりも大きな反動減に早くも見舞われている。前述の「液晶テレビ」に加え、「レコーダー」も3月は152.9%と大幅に伸びたが、4月速報値では58.7%と4割減の水準に落ち込んだ。「ホームシアターシステム」も3月の160.7%から4月速報値で86.6%と2桁割れを喫している。また個人向け製品で駆け込み購入が最も目立った「電子ピアノ」は、3月には200.5%と前年比で倍増したものの、4月速報値では76.4%と大きなマイナスに転じた。そのほかスマートフォンを含む「携帯電話・PHS」(3月120.1%、4月速報値65.8%)、「デジタルカメラ」(3月102.0%、4月速報値69.6%)、「タブレット端末」(3月157.0%、4月速報値86.4%)など、3月から4月にかけて大きく減速しているカテゴリーが目立つ。

 薄型テレビやレコーダーは、2011年7月に終わった地デジ化特需の大きな反動減に苦しめられてきた。特にテレビでは、 2011年の7月から8月にかけての反動減は大きく、11年7月の販売台数前年比が227.4%だったのに比べ、翌月は61.7%と大きく落ち込んだ。 その後、約3年をかけ徐々に前年水準に届くまでに回復、今年に入ってようやく前年並み水準に戻ってきた状況だ。こうした戻り基調に加え、3月は消費税増税の駆け込み購入効果が加わり、販売台数、金額とも大きく伸びた。

 今回は、駆け込み購入の規模は11年に比べ小さい一方反動減は瞬間的にほぼ同水準に達している状況。11年に比べ経済状況も改善している上、4kテレビなど新たな商材も登場していることなどから、販売はここ数か月で前年並み程度の水準まで戻る可能性が高いと考えられる。一方、スマートフォンの普及に伴うデジタルカメラの市場縮小傾向は依然続いており、低価格のコンパクトカメラの販売縮小を中心に、販売台数減少の傾向は当面続くものと見られる。
 
 
 
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*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしています。
 
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