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サッカーワールドカップ開幕目前で、4Kテレビが始動――50型以上で販売台数が初の2割超え、録画市場も活況

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 14年5月、50型以上の液晶テレビに占める4Kモデルの販売台数構成比が、初めて2割を超えた。販売金額では4割に迫る勢いで、大型テレビの4K化が着実に進んでいる。BCNが全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。
 

●新製品効果で第2幕に入った4Kテレビ市場

 テレビメーカー各社がこのところ力を入れている4Kテレビ。6月2日に試験放送が開始され、いよいよ消費者にとって身近な存在になってきた。特に大型の50型以上での販売台数構成比に注目すると、5月に20.2%と2割を突破。さらに、4Kテレビの税抜平均単価は5月現在で33万円と高額なため、販売金額では36.5%と4割をうかがう水準にまで拡大した。液晶テレビ全体から見れば、販売台数は2.4%とまだまだ少ないものの、販売金額では12.3%と存在感が増している。13年に立ち上がった市場は、いよいよ14年下半期に向けて拡大期に入ったといえるだろう。
 

●ようやくシェア争いも本格化、しかし海外メーカーはまだまだ

 4Kテレビのメーカー別販売台数シェアは、5月でソニー、東芝、パナソニックの順。54.5%のソニーがダントツだ。比較的小型で安価な55型モデルが好調で高いシェアを維持している。4月以降、競合各社も50型前後のモデルを発売しはじめ、税抜平均単価が20万円台の製品が増えてきた。いよいよ本格的な4Kテレビのシェア争いがスタートしたという様相だ。

 一方、まだ海外ブランドの4Kテレビはほとんど見られないものの、韓国、中国メーカーを筆頭に4K製品は、すでに数多く手掛けられており、日本市場に上陸するのも時間の問題だ。とはいえ、2K映像を4K並みの映像に引き上げる技術においては、まだまだ日本製品に大きなアドバンテージがあるため、当面は海外ブランドの激安4K製品が市場を席巻することはないものとみられる。
 

●第1普及期へ、本番は年末商戦から

 CSデジタルで6月2日に始まった4Kの試験放送、「Channel 4K」。ところが、放送時間は13時から19時までの6時間程度で、受信するためのチューナーやチューナーを搭載したレコーダーなどはまだ発売されていない。メーカーは実際の試験放送を受信しつつ機器を調整して発売する必要があるため。一般消費者が4K放送を楽しむ環境は、これから整えられていくことになる。 ワールドカップを4Kで、という期待もあったが、試験放送を行っている次世代放送推進フォーラムでは、日本戦を含む4試合で録画したコンテンツを放送すべく調整しているところだ。

 こうした状況から、この夏のボーナス商戦では、4Kテレビが市場をけん引する効果はまだまだ小さいと思われる。むしろ現在は、全国の販売店の店頭で映し出される4K試験放送の映像を通じて、4Kという言葉と高精細映像の美しさの認知度を広げていく段階にある。レコーダーやチューナー、チューナー搭載のテレビが発売される見込みの秋以降、年末商戦に向けて、本格的な4K市場の立ち上がりが期待できそうだ。
 

●「録画市場」がデジタル家電の夏商戦を下支え

 ところで、サッカーワールドカップの開幕を目前に控えた5月、今回は特に時差が大きいブラジルでの開催ということもあり、関連市場で動きが見られた。レコーダーは、液晶テレビに比べ地デジ化バブルからの回復がやや鈍いカテゴリーだったが、ここにきて回復の足取りがしっかりしてきた。消費税増税前の駆け込み購入とその反動減で、4月の販売台数は前年比で70.2%と大きく落ち込んだが、5月には早くも93.7%と前年並みまであと一息の水準に戻している。

 また液晶テレビ全体でも、4月に販売台数がいったん落ち込み、5月には前年比で90.0%まで回復。販売金額では105.0%と前年を上回った。現在の液晶テレビは9割以上で外付けハードディスクに対応し、録画できるようになっているが、その影響もあって、外付けハードディスクも5月は前年比で102.4%と販売が好調だった。この夏のボーナス商戦では、店頭で4Kの認知を広げつつ、「録画市場」が販売を下支えすることになりそうだ。
 
 
BCNでは全国の量販店22社(アベルネット、アマゾンジャパン、エディオン、NTTレゾナント、ケーズホールディングス、サンキュー、上新電機、スタート、ストリーム、ソフマップ、ZOA、トスパラ、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、ベスト電器、三星カメラ、ムラウチドットコム、MOA、ユニットコム、ラオックス、楽天ブックス=50音順・2014年4月1日現在)のPOSデータを日次で集計したBCNランキングを公表しています。

*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしています。
 
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