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液晶テレビの平均画面サイズが過去最大を記録――主戦場は40型以上の中、大型市場にシフト

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 液晶テレビの平均画面サイズが2014年7月、34.0と過去最大を更新した。さらに、1インチ単価(税抜き、以下同)の上昇トレンドが継続しており1900円台まで回復。このところ進んでいるテレビの大型化と収益重視のメーカー各社の動きが反映されている。BCNが全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。
 

●厚かった「34の壁」をついに突破

 液晶テレビの平均画面サイズは、11年の年末商戦で30型台に突入した後、13年の6月に一気に32を突破し、この7月に初めて34.0と過去最高を記録した。13年の夏商戦から14年の2月までは33型台後半で推移したが、新生活需要で小型モデルの売り上げが増加する3-4月に一服。5月以降、再び拡大基調に乗せてきた。これまでの最高は33.9。直近の6月のほか、13年11月、12月にも33.9を記録していたが、なかなか「34の壁」を破れなかった。大型中心の4Kテレビの拡大も手伝い、年末商戦に向けて、さらなる大型化の進展が見込まれる。

 メーカー別の平均画面サイズを見ると、最も大きいのがソニーで、この1年ほぼ40を上回る水準で推移している。液晶テレビのメーカーシェアでは、同社は4位のポジションにあるものの、昨年7月のシェア7.2%からこの7は15.6%と8.4ポイント上昇。上位3社との差を縮めながら大型化のけん引役も果たしている。1インチ単価は上位4社中最も高いものの、下げ基調が続いており、今年に入って2000円台まで下落。他社の単価に接近してきた。こうした価格要因が、同社のシェア拡大を後押ししている。

 東芝は、6月に平均画面サイズ37.8と同社最高を記録し、ソニーに次ぐサイズで推移している。1インチ単価も今年の初頭に上昇し一時2000円台をつけた。このため若干シェアを落としたものの、7月には他社と同レベルの1800円台に戻り、シェアも徐々に回復してきた。一方、平均画面サイズ変動で対照的な動きをしているのがシャープとパナソニックだ。液晶テレビでトップシェアのシャープは、上位4社のなかでは平均画面サイズは小さめ。特にこの3月と4月は久々に32を切る31台になり、小型テレビの多い新生活需要を取り込んだ。以降徐々に画面サイズが大型に戻り、7月には33.1まで回復した。一方、パナソニックは、この2月に平均画面サイズが、36.2と急速に大型化。東芝に急接近した。しかし、以降徐々に戻り、7月にはシャープと同じ33.1に落ち着いている。シャープの1インチ単価は1700円台からじりじりと1800円台までに上昇している一方、パナソニックは6月に一旦2000円台を付けた後1800円台に戻した。シャープ、パナソニック、東芝のシェア上位3社は1800円台とほぼ同水準の1インチ単価に落ち着いている。
 

 

 

●50型以上の販売金額構成比は、すでに最大

 平均画面サイズの拡大とともに、50型以上の大型製品の販売構成比も伸びている。7月現在の販売台数構成比では液晶テレビ全体の12.4%に過ぎないが、販売金額では全体の34.3%を占め、最も売り上げの上がる画面サイズ帯に成長した。こうした市場構造の変化に伴って、メーカー間の競争も激化している。これまで、全部の画面サイズ帯で安定的にトップシェアを握ってきたシャープだが、この7月は50型以上で僅差ながらパナソニックにトップの座を明け渡した。さらにソニーもこの2社をわずかな差で追いかける展開。やや差をつけられているものの、東芝も徐々にシェアを上げており、「売り上げが稼げるサイズ」での競争が激しくなってきた。

 住宅事情もあり、日本市場ではテレビの極端な大型化は期待できないものの、買い替え需要を中心に40-50型台の構成比はまだまだ拡大の余地は大きい。注目が集まる4Kテレビもこのあたりが売れ筋で、年末商戦に向け、40-50型台が市場全体をけん引することになりそうだ。
 

 
BCNでは全国の量販店22社(アベルネット、アマゾンジャパン、エディオン、NTTレゾナント、ケーズホールディングス、サンキュー、上新電機、スタート、ストリーム、ソフマップ、ZOA、トスパラ、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、ベスト電器、三星カメラ、ムラウチドットコム、MOA、ユニットコム、ラオックス、楽天ブックス=50音順・2014年6月1日現在)のPOSデータを日次で集計したBCNランキングを公表しています。

*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしています。
 
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