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デジタル家電市場、2014年は前年比 6.1%増になる見込み――BCN試算、増税前の駆け込み購入効果大きく

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 2014年(1-12月)のデジタル家電市場の販売金額は、前年比で6.1%増になる見込みであることがわかった。全国の主要家電量販店などの実売データを集計する「BCNランキング」をもとにBCNが試算した。1-3月に生じた、消費税増税前の駆け込み購入効果と、4月にサポートが終了したWindows XPにともなうパソコンの買い替え特需が大きく貢献。4月以降に見られた反動減を補い、14年はプラス圏で終えることができそう。一方、年度ベース(2014年4月-2015年3月)では、特需効果の反動で、前年度比8.4%減に落ち込む見込みだ。
 

●駆け込み特需の「貯金」は年末まで持つのか?

 デジタル家電市場の販売金額前年同月比を示す「BCN指数※」による単月動向をみると、 1-3月に生じた駆け込み特需は大きく、特にピーク時の3月には159.1を記録、突出した伸びを示した。4月以降はマイナスに転じ、反動減が続いている。しかしマイナス幅は徐々に縮小しており、8月には98.8と前年並みまであと一歩のところまで回復してきた。主要カテゴリーでも緩やかに回復している。例えば液晶テレビは、4月の反動減を経て着々と売り上げを戻しており、8月には販売台数103.6%、販売金額110.3%と、台数と金額がそろって前年を上回った。
 


 一方、 1-3月の特需による「貯金」が、その後の反動減によってどれだけ取り崩されているかを見るため、累計販売金額を前年同期と比較したところ、12月時点でもまだプラス圏を維持できる見通しであることが分かった。1月から各月の販売金額を積み上げて累計し(1-8月は実績、9-12月は予測値)、前年同期と比較すると、累計販売金額の前年比は3月の129.0%をピークに、4月以降に生じた駆け込み特需の反動から徐々に後退。8月では110.3%まで減少した。現在の市場動向をベースに、9月以降の販売金額予測を積み上げたところ、12月時点での14年の年間販売金額全体では13年比で106.1%(6.1%増)と前年を上回る見込みで、1-3月の駆け込み特需の「貯金」は残りそうだ。Windows XPのサポート終了に伴うPCの特需分を除外しても、103.0%と前年を上回る水準だ。主要カテゴリー別の販売金額は、液晶テレビが116.8%(16.8%増)、PCが117.6%(17.6%増)、レコーダーが105.3%(5.3%増)、デジカメが100.5%(0.5%増)になる見込みで、デジタル家電市場の13年と14年の暦年比較ということなら、「均せばプラス」という結果になりそうだ。
 

 

●年度ベースでは逆に特需の反動で8.4%減に

 同様に、いわゆる年度ベースで試算を行うと、14年の1-3月の特需が13年度の実績になることから、販売金額の前年度比は8.4%減の91.6%になる見通し。液晶テレビは97.7%、デジカメは94.0%と、いずれも前年を下回るものの、1ケタ減の範囲で収まりそうだ。しかし、レコーダーは88.3%と2ケタ減、Windows XPのサポート終了特需と増税前の駆け込み特需が重なったPCは85.1%と大きなマイナスを記録しそうだ。特需の反動減という明確な理由はあるものの、前年度比の大きなマイナスというインパクトはやはり無視できないだろう。
 

 

●まだ「病み上がり」のデジタル家電市場、本格回復には時間が必要

 デジタル家電市場は、2011年8月から続いてきた地デジ化特需の反動減からようやく立ち直りつつある、いわば「病み上がり」の状態。多くのカテゴリーで、新たな市場を開拓する製品が徐々に登場し始めているが、14年1月-3月の駆け込み特需を上回るほどの勢いを期待するには時期尚早。販売数量・金額とも前年を大きく上回り、市場が本格的な回復トレンドに乗るまでには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
 
BCNでは全国の量販店22社(アベルネット、アマゾンジャパン、エディオン、NTTレゾナント、ケーズホールディングス、サンキュー、上新電機、スタート、ストリーム、ソフマップ、ZOA、トスパラ、ナニワ商会、ビックカメラ、ピーシーデポコーポレーション、ベスト電器、三星カメラ、ムラウチドットコム、MOA、ユニットコム、ラオックス、楽天ブックス=50音順・2014年6月1日現在)のPOSデータを日次で集計したBCNランキングを公表しています。

*集計対象の社数は、当社と販売店との間でデータ提供契約を締結している法人数をカウントしています。
 
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