99年PC国内店頭市場は400万台を突破
株式会社BCN(本社・東京都文京区、社長 奥田喜久男)の市場調査部門であるBCN総研は、99年(1月~12月)PC国内店頭市場の年間販売量が、台数で417万台、金額で9182億円に達するとの見通しを発表した。99年度第4四半期(10~12月)の販売台数は、前年同期比49.4%増の130万台に達する見込み。台湾の大地震による部材価格の上昇など一部懸念材料はみられるが、デスクトップの低価格モデル、ノートの全般的な好需要に支えられ、今後も初心者層を中心に確実に需要は増加するだろう。
PCの99年第3四半期(7月~9月)国内店頭市場の総販売台数は、第2四半期比10.6%増の104万台、金額では同7.0%増の2248億円を記録した。さらに最大の需要期である99年第4四半期のPCの総販売量は台数ベースで前年同期比49.4%増の130万台に達する見込みだ。
99年第3四半期の実績で、台数に比べて金額の伸び率が低かった背景には、SOTECの「Micro PC STATION」や日本IBMの「Aptiva20J」など実勢価格で10万円を切るモデルの伸長が大きく影響している。これは、四半期ベースでの販売価格帯別度数分布をみても明らかで、「7~10万円未満」の比率が上昇、低価格PCの販売量が大きく伸びていることがわかる。ショップからも「10万円切るPCの荷動きが活発化したことで販売台数は大きく上昇している。現在の経済状況にマッチした価格設定であることが消費者の購買意欲を高めている」との意見が多く聞かれた。
また、「iMac」のヒットに伴い、低価格で特徴のあるデザインのPCを発売するベンダーが登場、特にSOTECの「e-one」が話題を振りまいた。販売停止の仮処分などのトラブルはあるが、本家「iMac」を脅かす勢いをみせ、PC需要の伸長に大きく貢献した。ショップからも「女性層の広がりで性能よりもデザイン性などを重視する傾向が販売量の増加の原動力になっている」との声が多い。
こうした動きには、インターネットや電子メールを利用目的とした初心者層の増加が大きく影響している。利用目的に見合った機能で、低価格、あるいはデザイン性の高いPCが登場したことが結果的に販売量の底上げにつながったと考えられる。
99年第3四半期のベンダーシェアでは、NECが24.6%でトップをキープした。逆に「iMac」効果が薄れたアップルはシェアが後退、かわって富士通が1.5ポイント比率を伸ばし、2位に浮上している。富士通は際だった人気商品はないものの、複数のモデルが均等にシェアを獲得したことがベンダーシェアを引き上げる要因につながった。
一方、99年第4四半期は前年同期比49.9%増とさらに大幅な伸びが見込める。アップルの「iBook」が年末需要を牽引することに加えて、ショップから、「低価格PCとA4ノートの販売が年末商戦を支える」との意見が多く聞かれたことを考慮した結果だ。だが、「台湾の大地震の影響で PC本体の価格が値上がりする可能性もある」、「メモリの価格上昇の影響を受けて低価格PCが10万円を上回るようになると大幅増は見込み薄になる」など台湾の被災状況によっては、第4四半期の動向に懸念を示すショップもある。ただ、多くのベンダーが台湾での部材の生産を一部国内や他国へとシフトさせる体制の構築を急いでいるだけに年末商戦への影響はそれほど深刻ではないとBCN総研では判断した。これにより、99年の国内店頭市場の年間販売量は、台数では417万台、金額では9182億円に達するものと見込んでいる。
コンピュータの週刊専門紙である「BCN」(BUSINESSコンピュータニュース)を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社は、東名阪のパソコン大手販売会社9社(エイデン、グッドウィル、コンプ100満ボルト、コンプマート、CSKエレクトロニクス=T・ZONE、スタンバイ、ソフマップ、九十九電機、ニノミヤ=50音順)284店舗の日次販売データをデイリーで収集し配信するBCNランキングを公表しています。このデータをもとに、BCNの市場調査部門であるBCN総研ではPCリテール市場の動向分析を行っています。
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