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ノートPCの販売金額が2ケタ減に、ネットブックの台頭で変わる市場構造

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ノートPCの販売金額が2ケタ減に、ネットブックの台頭で変わる市場構造――09年6月の前年同月比で台数 21.6%増、金額 12.5%減


 09年6月のノートPCの販売金額が前年同月比で87.5%(12.5%減)と、ついに2桁マイナス圏に突入した。全国主要家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で明らかになった。

 ノートPCの販売台数は、このところ拡大が続いており、6月も前年同月比で121.6%(21.6%増)。勢いはやや落ち着いてきたものの堅調に推移している。要因は低価格なネットブックの台頭。ノートPCに占める台数構成比がすでに3割を超えており、存在感は一段と大きくなってきている。しかし副作用として、平均単価の下落が進み、ノートPC市場全体では、台数は伸びても金額がマイナスになる現象が起き始めている。金額の前年割れは今年に入って6月で4回目。過去3年でみても6月の販売金額は最低の水準だ。メーカー各社が本格的なネットブック対応を迫られるなか、ノートPC市場の構造変化が顕著になってきた。

 
図1 <ノートPCの販売状況前年同月比>
ノートPCの販売状況前年同月比

●台数は最高で金額は最低

 ノートPCの台数前年同月比は、ネットブックが一気に拡大した08年8月に136.5%(36.5%増)を記録して以来、3割を超える伸び率で推移。ピーク時の11月には152.5%(52.5%増)と大幅な伸びを記録した。しかしその後、勢いは鈍化。09年5月に一旦141.9%(41.9%増)まで回復したが、6月では3割増の勢いを維持できず、121.6%(21.6%増)にとどまっている。

 一方、金額の前年同月比では、台数が最も伸びた08年11月でも111.9%(11.9%増)にとどまるなど、もともと伸び悩んでいた。さらに年末商戦以降は、台数が40%台の伸びを記録しなければ金額ベースで前年を上回ることが難しくなっている。こうした経緯を経て、台数の伸びが鈍化した6月、ついに金額で2桁のマイナスを記録するまでに落ち込んだ。

 また、06年6月を1とする指数で3年間の動きを6月同士で比較すると、09年が最大の販売台数指数1.5を記録しているのに比べ、金額では過去最低の0.9の水準に落ち込んでいる。

 
図2 <ノートPCの販売台数指数>(左)
図3 <ノートPCの販売金額指数>(右)
ノートPCの販売台数・金額指数


●原因はノートPCの市場構造の変化とそれに伴う価格の下落

 08年1月に日本市場に投下されたネットブックは、09年6月時点でノートPCの販売台数のうち33.1%を占めるまでに拡大した。一方税抜きの平均単価(以下同)は4万1500円と、この1年で25%下落。スタンダードタイプのノートPCは64.9%を占め依然として主流を守っているものの、6月の平均単価は10万1600円と、こちらもこの1年で12%下落している。安価なネットブックの拡大に加え、スタンダードタイプのノートPCの価格下落も金額の前年割れを生む要因になっている。

 こうした市場構造の変化はメーカー間の勢力図にも影響を及ぼしている。販売台数で東芝、富士通、NECの3社で上位を固めている状況には変わりないが、これに続くのが台湾のASUSTeK Computer。シェア8.4%を獲得し7.7%のソニーを抑えて4位に食い込んでいる。そのすぐ後ろにはシェア6.7%で同じく台湾勢の日本エイサーが続くという状況だ。

 
図4 <主要PCメーカー別販売台数シェア>
主要PCメーカー別販売台数シェア

●Windows7の登場が与える影響は?

 ノートPC市場の構造を大きく変えようとしているネットブックだが、日本メーカー各社は08年までは及び腰の対応にとどまっていた。しかし、ここに来て本格参入の動きが活発化。東芝を筆頭に、NEC、富士通も相次いでネットブックを発売したほか、ソニーもネットブック市場への本格参入を表明した。特に東芝はネットブックでのシェアを急激に拡大しており、6月はASUS、エイサーに続き、台数シェア15.3%で3位と好調だ。今後は、こうした低価格製品でいかに利益を確保するかが各社の課題になってくるだろう。

 マイクロソフトが10月に発売する新OS、Windows7には、ネットブック向けのものも用意されると言われており、いよいよOSレベルでも本格的にネットブックに対応しそうだ。とはいえ、市場がすべてネットブックに塗り変わってしまうわけではなく、ハイスペックなスタンダードマシンと棲み分けながら市場を形成していくことは間違いない。低価格のマシンに注目が集まる今、ハイスペックマシンの存在意義をどうやってユーザーに伝え、売り分けていくことができるかが試されている。09年は、今後のノートPC市場にとって、極めて重要な年になりそうだ。

※BCNでは「ネットブック」を「12.1インチ以下の画面サイズで、atomなどの低電圧型のCPUを搭載したノートPC」と定義しています。
 
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