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単価2万円割れ、コンパクトデジカメで続く消耗戦

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単価2万円割れ、コンパクトデジカメで続く消耗戦
――値下げで台数前年比は回復、春商戦で試される製品力


 コンパクトデジタルカメラの平均単価(税抜き、以下同)が2万円を大きく割り込んだ。全国主要家電量販店の実売データをまとめている「BCNランキング」で集計したところ、10年1月のコンパクトデジカメの平均単価は1万7700円。09年12月の2万100円からわずか1か月間で12.1%と大幅に下落した。平均単価が前月比で10%を超えて下がったのは09年1月以来1年ぶり。1月の販売台数は久々に前年同月を上回ったものの、新たな魅力の模索が続くコンパクトデジカメ市場の窮状が浮き彫りになった。

 
図1 <コンパクトデジタルカメラのメーカー別平均単価>
コンパクトデジタルカメラのメーカー別平均単価

●秋から年初にかけての値下がり幅拡大傾向に

 もともとコンパクトデジカメ市場は、毎年1月が平均単価の底。秋の新製品で9月-10月に価格が一旦上昇し、年末商戦を終えた年明けに向けて下がっていくという値動きを繰り返している。しかし、09年の秋冬商戦では9月以降の価格下落が例年になく急だった。08年10月-09年1月の間では下落率は19.0%だったが、09年10月-10年1月にかけては23.1%と大きく値下がりしている。

 メーカー別にみると、1月の販売台数シェア上位5社のうち、09年10月-10年1月にかけてもっとも価格下落率が大きかったのはオリンパスで35.1%(10年1月平均単価:1万4300円)、次がカシオで22.0%(1万5600円)、3番目が富士フイルムで20.3%(1万5700円)だった。こうした秋から年明けにかけての価格下落は年々大きくなる傾向にあり、「新製品効果」が長続きしなくなっていることを物語っているようだ。

 
図2 <コンパクトデジタルカメラのメーカー別販売台数シェア 上位5社>
コンパクトデジタルカメラのメーカー別販売台数シェア 上位5社

●販売台数は久々に前年を上回ったが……

 一方、このところ前年割れが続いていた販売台数は、10年1月で7.2%増と、ほぼ1年ぶりに前年同月を上回った。5%を超える台数の伸びを記録したのは08年8月以来17か月ぶり。月間販売台数をみても、この3年で最大だった07年12月次ぐ水準を記録した。販売金額は依然として前年を下回っているが、9.6%減にとどまり、これまで続いていた2ケタ減の水準からは、かろうじて1ケタ減の水準にまで回復してきた。活況を取り戻しつつあるように見えるコンパクトデジカメだが、台数の伸びと金額の戻り基調を支えているのは「価格の安さ」という構造だ。

 
図3 <コンパクトデジタルカメラの台数・金額前年同月比>
コンパクトデジタルカメラの台数・金額前年同月比


 価格帯別の販売台数構成比では、1万円未満の製品が占める割合が10年1月時点で16.5%と12月比で10.2ポイントも拡大。既に市場の63.9%が2万円以下の製品になっている。一般消費者の値ごろ感も平均単価と同様に1万円台に下がっているようだ。しかし、この春の新製品では、高速無線通信機能やGPS機能、動物の「顔認識」機能、耐水・耐ショック性能を備えるものなど、個性的な製品が続々と登場しており、メーカー各社の積極的な戦略がいよいよ形になってきた。「製品そのものの魅力」が、消費者にどの程度評価されるのか、正念場だ。

 
図4 <コンパクトデジタルカメラの価格帯別構成比>
コンパクトデジタルカメラの価格帯別構成比
 
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